いい人仮面とヤッカミ星人

ある冬の日、いい人仮面は自分の国、

四角四面国のカクカク村にある

カクカク山に散歩に行きました。

 

カクカク山の頂きから

隣の国福々円満国のマルマル村の様子が

見えて来ました。

 

「福々円満国は穏やかで円満そうだな~

マルマル村はこんなに近いのだから

マルマル村の人とお友だちになりたいな」

 

といい人仮面は独り言を言いました。

 

家に帰るといい人仮面は

沢山の風船を買って来ました。

 

その風船一つ一つに自分のポエムと

マルマル村の人とお友だちになりたいという

メッセージ、そして連絡先を書いた紙を

風船にくくりつけて空に放つことにしたのです。

 

マルマル村の誰かが受け取って

返事をくれることを期待したのでした。

 

いい人仮面はわくわくしながら、

風船にメッセージをくくりつけいました。

その時、ヤッカミ星人がやって来て言いました。

 

「いい人仮面、何をしているんだい?」

 

いい人仮面がかくかくしかじかと事情を話すと、

 

「いい人仮面、だれが拾うかも知れないのに、

メッセージを送ろうなんて

怖いから止めたほうがいいよ」

 

とヤッカミ星人は自信たっぷりに言い放って

帰って行きました。

 

いい人仮面は楽しい気持ちが

シュンとなりました。

 

 

でも、気を取り直して

メッセージを全部つけ終わると、

大空に風船を放ち、

ドキドキしなから返事を待ちました。

 

でも、何日たっても返事は来ませんでした。

いい人仮面はがっかりして

返事を諦めようとしていました。

 

ところがそんなある日、

街の伝書鳩を飼っているオジサンが

いい人仮面のところにやって来ました。

 

「マルマル村からいい人仮面宛に

伝書鳩の手紙が届いたよ」

 

いい人仮面は大喜びで手紙を読みました。

手紙には、「いい人仮面のポエムが

とても良かった。伝書鳩で文通を続けたい」

と書かれていました。

 

いい人仮面が大喜びしていると、

ヤッカミ星人がいつの間にか、

いい人仮面の側に立っていました。

 

「いい人仮面、

マルマル村から返事が届いたんだってね」

 

「ああ、ヤッカミ星人、そうなんだよ。

僕のポエムが気に入ったから文通しようって」

 

「きみはお人好しだね。

マルマル村の人は人当たりが良くて

調子は良いけれど、

本当は危険な人が多いんだよ。

よく知らない人と文通なんて

怖いから止めたほうがいいよ」

 

いい人仮面は嫌な気持ちになりましたが、

マルマル村から来た手紙が

とてもうれしかったので、

伝書鳩の文通を始めることにしました。

 

いい人仮面はせっせとポエムを書いて、

マルマル村のフクフク君と伝書鳩の

文通を続けました。

 

ある時、フクフク君が「マルマル村の森で

収穫した木の実の料理をするから

遊びに来ないかい?」と手紙をくれました。

 

いい人仮面はドキドキしながら、

マルマル村にでかけ、

フクフク君の手料理を食べて、

ポエムについて語り楽しい時間を過ごしました。

 

フクフク君が自家製で喉に良いと言う

かりん酒を持たせてくれました。

 

翌日、楽しかったことを思い出しながら、

かりん酒の瓶を眺めていると、

いつの間にかヤッカミ星人が

いい人仮面の側に立っています。

 

「いい人仮面、マルマル村に行ったそうだね。

フクフク君にかりん酒をもらったんだろ?」

 

「そうだよ、でもどうして知っているの?」

 

「いい人仮面、アルコールは危険なんだよ。

依存症になるよ!」

 

「ヤッカミ星人はマルマル村の人と文通して、

マルマル村に行ってマルマル村のかりん酒を

飲んだことがあるの?」

 

「いや、ないけれど。

クレクレ星人もちゃっかり星人も

ほどほど星人もみんなそういっているよ!」

 

楽しい気持ちをヤッカミ星人に

何度も台無しにされたいい人仮面は

勇気を出して言いました。

 

「なんだ!自分で文通したこともなく、

マルマル村に行ったこともなく、

かりん酒を飲んだこともないんだね!

ヤッカミ星人!

よく知りもしないのに人にアドバイスするのは

怖いから止めたほうがいいよ!!」

 

・・・・・<オシマイ>・・・・・

 

*鬱・夫の死を克服した作家&

インナーチャイルドカードセラピスト

村川久夢(むらかわ くむ)

 

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