1
ある秋の日、いい人仮面は色づいた葉っぱが美しい森に行きました。森があまりにキレイだったので、いい人仮面はスケッチブックにクレヨンで森の絵を描きました。
すると、お友だちがやって来て「いい人仮面、素敵な絵だね~僕にも1枚描いてくれないかい」と言いました。その言葉を聞いてすっかり嬉しくなったいい人仮面は、スラスラと森の絵を描いてお友だちにあげました。
2
次の日、お友だちのお友だちが来て言いました。「いい人仮面、僕にも森の絵を描いて!」
その日の午後、お友だちのお友だちのお友だちが、いい人仮面のところにやって来て、「僕にも森の絵を描いて!」と言いました。
それから次々、「絵を描いて」と言う人が現れました。いい人仮面はすっかり嬉しくなって、夜が明けるまで森の絵を描き続けました。
3
夜がすっかり明けると、友だちのほどほど星人がやって来ました。
「ほどほど星人、森の絵がほしいのかい?」
「いや、僕は遠慮するけれど、絵を描くのはいい趣味だよ。でもね、ほどほどにね」と言うとほどほど星人は帰って行きました。
いい人仮面は「そっか~、僕は限度がなくて、ほどほどってことがわからないからな・・・」となんだかシュンとなりました。
4
絵を描いてと言う人も現れなくなった頃、いい人仮面は森で拾って来た木の実で首飾りを作りました。
すると、お友だちが現れて言いました。「いい人仮面、お洒落な首飾りだね。僕にも作って」。いい人仮面はお友だちに木の実の首飾りを作ってあげました。
翌日、お友だちのお友だちがやって来て「僕にも首飾りを作って」と言いました。それから次々と首飾りを作って欲しい人が現れました。
いい人仮面の首飾りがお洒落だと評判になり、いい人仮面はすっかり嬉しくなって、もう一度森に行って木の実を拾って、首飾りを作り続けました。
するとほどほど星人が現れて言いました。「いい人仮面、お洒落な首飾りだね。人に喜ばれることをするのは良いことだよ。でも、ほどほどにね」
いい人仮面は自分がバカなお人好しに思えてシュンとした気持ちにまたなりました。
5
いい人仮面の知り合いみんなが木の実の首飾りをするようになった頃、いい人仮面は森の思い出をポエムに書きました。
するとお友だちが現れて、「いい人仮面、いいポエムだね。ポエムを紙に書き写して、僕にくれないか?」と言いました。
ポエムを書くのが大好きないい人仮面は、大喜びで森の思い出のポエムを紙に書き写し、お友だちにあげました。するとまたお友だちのお友だちが、いい人仮面のポエムが欲しいと言って現れました。ポエムを書くのが何よりすきないい人仮面は大喜びでポエムを書き写しました。
次々とポエムが欲しいと言う人が現れました。いい人仮面は、嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。手が痛くなってもポエムを書き写し続けました。
6
そこへほどほど星人がやって来ました。「いい人仮面、何をやっているんだい?」
「あ!ほどほど星人!みんなが僕のポエムを欲しいと言ってくれたんだ!僕はうれしくて・・・」
「そうかいポエムを作ることは良いことだよ。でも君のためを思って一言いってあげるよ。なにごとも『ほどほど』ってことが大事だよ。限度がないのは考えものだよ、いい人仮面」
その時、いつもはシュンとなるいい人仮面もムッとした気持ちになりました。森の絵を欲しいと言ってくれたお友だちの顔、木の実のネックレスを喜んでつけてくれたお友だちの顔、森の思い出のポエムを喜んでくれたお友だちの顔が浮かびました。
「ほどほど星人!僕は確かに限度がないよ。でもね、僕がほどほどだったら、森の絵も木の実の首飾りも森の思い出のポエムも、あんなにお友だちを喜ばせなかったよ。君の方こそ、人にヤキモチを焼くのは
『ほどほど』にしたらどうだい!」
・・・・・<オシマイ>・・・・・
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