いい子が嘘をついたわけ~幼い日の悲しみが~

こんにちは、村川久夢です。

私は作家であり

インナーチャイルドカードセラピストです。

 

ところで

「インナーチャイルドカードセラピー」

「インナーチャイルドカードセラピスト」

「インナーチャイルド」「内なる子ども」

と言われてもピンと来ないのが、

本当のところだと思います。

 

私がインナーチャイルドカードセラピストに

なって間もない頃、

私はある不思議な経験をしました。

 

私の中に眠っていた幼い日の私が、

悲しみを現在の私に訴えに来たのです。

 

幼い日の私は、

悲しくて口惜しかった思いを

現在の私に訴えると気が済んだのか、

また静かな夢の国に帰って行きました。

 

今、思うとあの幼い日の私が、

私のインナーチャイルドだったのだと思います。

 

現在の私と幼い日の私

(私のインナーチャイルド)との対話を

描いた物語、

「お母ちゃん、花束が欲しいねん!」

を紹介させていただきます。

 

*----------*

【掌編小説】

『なあお母ちゃん、花束がほしいねん!』

 

昨日の夜のことでした。

私の中で眠っていた幼い久夢ちゃんが、

突然、起きだして、私に訴えました。

 

幼い久夢ちゃんは、

何かが欲しいと駄々をこねたりしない、

聞き分けの良い、我慢強い子でした。

でも、そんな久夢ちゃんが、

どうしても欲しくて、

母さんに嘘をついてまで、

物をねだったことがありました。

 

幼い久夢ちゃんは、

私にその時のことを話し始めました。

 

その頃、久夢ちゃんは、

私学の小さな幼稚園に通っていました。

 

お友だちの何人かが、

よく素敵な花束を持って来て、

先生に渡していました。

 

久夢ちゃんが大好きな

優しくて綺麗な先生は、

「まあ、綺麗ね。ありがとう」

と言って、幸せそうに花を花瓶に生けて、

教室に飾ってくれました。

 

久夢ちゃんは、

そんな先生を見るのが大好きでした。

 

「なあ、お母ちゃん、花束買うて~」

「なあ、お母ちゃん、花束が欲しいねん」

「花束買うて~ほしいねん、お母ちゃん」

 

久夢ちゃんは、珍しく、

お母さんに何度もおねだりしてみました。

でも、お母さんの返事は、

いつも同じでした。

 

「よそはよそ、うちはうち、

花束なんて買わへんよ」

 

久夢ちゃんは、花束を持って行って、

先生を喜ばせたくて、胸が一杯でした。

先生が違う子から

花束を受け取るのを見るのが、

久夢ちゃんはだんだんつらくなりました。

 

そして、久夢ちゃんは、

ついにお母さんに嘘をつきました。

 

「先生が、順番にお花を持って来なさい

と言うてはった」

とお母さんに言ってしまったのです。

 

お母さんは、渋々、

安い花束を買って持たせてくれました。

 

久夢ちゃんは、やっと花束を

先生に渡すことができたのです。

 

先生は、

「まあ綺麗ね、ありがとう、久夢ちゃん」

と言って、

いつものように幸せそうに花を生けて、

教室に飾って下さいました。

 

久夢ちゃんは、とても幸せでした。

 

でも、久夢ちゃんの幸せな気分は、

長く続きませんでした。

 

次の日、久夢ちゃんが、幼稚園に行くと、

大好きな先生が悲しそうな顔をして、

こう言われました。

 

「久夢ちゃん、お母さんに

『先生が、順番にお花を持って来なさい

と言わはった』って言ったの?」

 

どうやら、お母さんが先生に電話をかけて

確かめたらしいのです。

 

久夢ちゃんは、何も言えませんでした。

 

「どうして、そんな嘘をついたの?

先生がそんなこと言った?」

と尋ねられました。

先生は、悲しそうでした。

 

久夢ちゃんは何も言えず黙っていました。

 

「先生の喜ぶ顔が見たかっただけです」

「お友だちみたいに

私も先生を喜ばせたかっただけです」

とは、言えませんでした。

 

その日、家に帰った久夢ちゃんは、

嘘をついたと言って、

お母さんにきつく叱られました。

 

あれから、

半世紀近くの歳月が流れた昨日の夜、

幼い久夢ちゃんは、

突然、私に訴えて来ました。

 

「嘘つくことは悪いことやけど、

なぜ嘘までついたか、

先生はなんでわかってくれへんかったの?」

 

「聞き分けの良い子は、

扱いやすかったやろうけれど、

お母ちゃんの言うことを黙って聞くことは

そんなに大事なことやったん?」

 

「いつもねだったりしいひん私が

ねだるなんてよっぽど欲しいのやろうと、

お母ちゃんは、

なんでわかってくれへんかったん?」

 

幼い久夢ちゃんの

悲しい思いが伝わって来ました。

 

「悲しかったね、久夢ちゃん」

「いつも我慢してたよね」

「大好きな先生を

喜ばせたかっただけやんね」

「欲しいものは、

欲しいって言ったらいいんやで」

と、私は言いました。

 

「それにね、久夢ちゃん、

誰がわかってくれへんでも、

私が分かっているよ。

私は、いつでも久夢ちゃんの味方やで」

 

 

私が、そう言うと、幼い久夢ちゃんは、

安心したようににっこり笑って、

夢の国に帰って行きました。

 

 ・・・・・・・・<完>・・・・・・・・

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*鬱・夫の死を克服した作家&

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